4月8日の午後には、桜の花咲く、これ以上ない好天のもとで、令和7年度 63期生の入学式が行われました。緊張の面持ちの63期生360名の入学を、教職員一同、ご来賓の方々や在校生、そして保護者の皆様とともにお祝いしました。入学式の式辞は、昨年と類似していますが、これは私が新入生に言いたいことが常に変わらないという証ということで、ご容赦ください。その内容を下記いたします。
箕面高校は、今年度創立六十三年目を迎えた府立高校です。この北摂の地、更には、この箕面市という、昨年の鉄道延伸にも伴いますます栄え行くこの街に基盤を置く府立高校としての誇りを持ち、「海外大学にも一番近い府立高校」として、校訓である「自主自律」「和親協力」を教職員や生徒が常に意識し、グローバルな視点で、高い志をはぐくみ、主体的に生きようとする「人生の物語を紡いでいける生徒」を育成し、皆がともにチャレンジする学校をめざしています。その中で、私が箕面高校に着任して二年間の中で、生徒のみんなにしっかりとその定義と意義を伝えねばならぬと感じているのは、自主・自律という点です。箕面高校は部活動や行事が活発で、生徒も主体的に活動しており、また私服登校が許されていることもあって、自由な校風と思われている節があり、新入生諸君もそのように感じておられる向きもあるかもしれません。しかし、そこで考えてほしいのは、勝手気ままな野放しの自由などあるはずもなく、自己の責任に裏打ちされた、自律(自分を律する)の下での主体性を持った行動こそが真の自由には求められているということです。コロナ禍を理由にして甘えられる時はとうに終わりましたし、この真の自由と自律という点はしっかりと心に留めておいてください。
さて、今日から箕高生となる皆さんが入学選抜にあたって書いてくれた自己申告書、ここにある皆さんの「中学校での経験や学びをベースに箕面高校に入学したらあれをしたい、これをしたい、こんな自分になりたい」という気持ち、思い、これがまさに皆さんの初心、原点です。これから様々な学びを深める中で、目標は変わっていくかもしれませんが、しかし、その気持ち、思い、そして今日いま皆さんが抱いている強いモチベーションは決して忘れず、ずっと持ち続けてください。それが、この先、例え困難に向き合ったとしても、それを克服する大きなエネルギーの源、前向きな心の源泉になるのです。そしてこの点は、学校説明会に参加してくれた生徒の皆さんにはお伝えしましたが、物事の結果の最大化についての方程式、能力 x 熱意 x 心の持ち方、在り様、ということにも繋がっていくことを思い出してください。
あと二点お話しさせてください。まずは、これから会う人、交流する人と自らの共通点を是非見つけるようにしてほしいということです。どういうことか?私の反省も込めながらお話ししますね。私は前の仕事の時に海外四か国に駐在したのですが、どうしても「日本ではこうなのに、この国ではどうしてこんな風なんだろう」という思考に陥ってしまうことが多かったと反省しています。いわゆる、日本との違い、相違点にばかり目が行ってしまうのですね。二十代から三十代の時にいたヨーロッパーフランスとドイツですがーでもそうでしたし、四十代半ばに駐在していた中国上海でもそうでした。でも、相違点のみに目が向いてしまっているうちは、本当の意味で相手を理解できないのですね。そうではなく、国は違うけれど、こことここは似ているではないか、日本人と同じ考えをするのだな、といった具合に共通点を見出していく中で、相互理解も深まりますし、相手への敬意も生まれてきますし、そうなると、相違点も否定的ではなく、肯定的に捉えられます。このことは、遅まきながら、五十代で駐在したアメリカのロサンゼルスでようやく気づきました。皆さんには是非今から、今日から、まずはクラスで初めて会う仲間と親交を深める中で、このことを実践していってほしいと切に願うものであります。それにより、接する人に対する理解も深まり、尊厳(リスペクト)も生まれてくるのであります。話が飛躍するようですが、私はこれがグローバルというキーワードへの第一歩だと思っています。
次に、私自身がこれまで、常に自分自身の「ありたい姿」として、自分自身に言い続けているスローガンのようなものを皆さんに共有したいと思います。これは、こうやって縁あって私と行動を共にしていく人たちにもそうあってほしいとの願いも込めてお伝えします。それは、①大人度高く②温度差なく③感謝と④笑いを忘れずに、というものであります。これは教職員の皆さんや新二、三年生には繰り返しお話ししているものであります。それぞれの言葉の意味するところは、今後様々な機会で触れていきたいと思いますが、一つだけお話しすると、最後の「笑いを忘れずに」という点。皆さんもご存じの通り、およそ地球上の生きとし生けるものの中で、感情を持って笑うことができるのは人間だけといわれています。この特権と能力を生かさないのは勿体ないことです。辛い時こそむしろ笑い飛ばしてもよいかもしれません。他人の欠点をあげつらって笑うことは許しませんが、そうでなければ笑いは活力とモチベーションの源、免疫力も上がるそうです。私は、先ほどお伝えした四つのキーワードの中では、この笑いを忘れずに、を最も大切にしているかもしれません。ちなみに、この四つのキーワード(大人度・温度差・感謝・笑い)の頭文字をとっていくと、おおかわ、となりますので、これで校長の名前も覚えてください。
さて、保護者の皆さん、私ども教職員は、心を一つにして、全力を尽くして、お預かりしたご息女、ご子息一人ひとりの教育に専念する覚悟でございます。高校生という時代に人は大きく変わることができます。大変僭越ながら、ご息女、ご子息に対する今までのご評価は一旦横において、これから起きるであろう様々な変化や進歩を楽しんで見守りながら、かれらが迷ったときにはそっと寄り添ってあげてください。保護者の皆さまにおかれましては、どうか本校の教育方針に深くご理解を賜り、ご支援、ご協力をいただきますよう、お願い申しあげます。ご来賓の皆様におかれましても、本校の教育活動を様々な角度から見守り、ご支援いただくとともに、時に我々教職員に対して、ご助言やご指導を願えればと存じます。よろしくお願いいたします。
最後に、もう一度新入生の皆さんへ。皆さんは今日から箕面高校生です。信頼できる教職員の皆さんとともに、皆さん一人ひとりが成長しながら、それぞれの素敵な未来とより良き箕面高校を創っていくことを、今、ここから始めていきましょう。私も校長3年生として学びを継続しながら、一緒に頑張ります。皆さんの高校生活が実り多く豊かなものになることを願って、私の入学式の式辞といたします。
